国士舘新体操部 大学生男子 活動報告
2024/12/12
■ドイツ遠征 Day9-11(Metz(フランス)本番&帰国)
いよいよ演技会最終日を迎えました。
本日の場所はドイツとの国境近くの街、フランスにあるMetz(メス)。車で3時間ほど移動した場所です。
ヨーロッパは陸路の移動ならパスポートのチェックもなく、他の国と簡単に行き来ができます。日本人のイメージ的には県をまたぐ感じに似ています。しかし、それだけで国を移動できるとは、島国に住む日本人からすると、不思議な感覚です。
到着後、会場チェック。
普段はハンドボールの会場として使用されているらしく、フロアをぐるりと囲むように楕円形の観客席が位置します。今回は、その観客席を半分に区切り、半円で演技をすることになります。フランスでは私たちのパフォーマンスが、どのように受け入れられるか楽しみです。
14時から最後のミーティングが始まり、その後チームごとに確認を行います。
本日のショー開始時刻は19時30分。
まだ少し時間があったためた、他チームの選手たちとともに、少しだけ街なかを散策。近くではクリスマスマーケットが開催されていたため、ここでもヨーロッパのクリスマスの雰囲気を楽しむことができました。
さて、いよいよ本番を迎えます。
ドイツでは本番1時間半ほど前から開場するため、本番前には既に満席になっていることが多かったです。
しかし、ここフランスでは本番15分前になっても観客がまばら。少し不安な気持ちになりました。
そして本番が始まり、地元体操チームの演技がスタート。
その頃には会場の席はある程度埋まったのですが、ドイツほどの満席率ではなく、少し余裕のある感じに見えました。
また、観客の反応も静かで、ドイツとの国民性の違いも感じます。
とはいえ最終日。
私たちのやる事は1つ。
自分たちの演技をやり切るだけです。
それでは、今回のGymmotionチーム最後のパフォーマーの紹介です。
ウクライナ出身のパフォーマーデュエット、ヴァレリアとダリアの姉妹です。
サーカス家系の彼女たちは、幼い頃から母の指導のもと、アクロ的要素を含んだ倒立系のパフォーマンスを主体としています。
今回のショーでは、2人で行う演目とヴァレリアだけの演目の二つが、プログラムに組み込まれています。
ショーの中でも屈指の能力をもつ彼女たちのパフォーマンスは圧巻で、2人演目では、姉のダリアが土台となり、その上でヴァレリアが様々な倒立を繰り広げます。人の体の上で倒立をするため不安定なはずなのですが、微動だにしない安定感を見せ、その技術力の高さを思う存分見せつけてくれます。
そして、ヴァレリアの演目では、ゆったりとしたメロディーに合わせて、手のひらサイズの土台の上で片手倒立を披露します。
倒立はただ立つだけでも、バランスを取るのが難しく、その上で様々な形に変えるのは至難の技。しかし、彼女は1度も足を地面につくことなく、様々な形の倒立を美しく、そして物語性を感じさせるような雰囲気を醸し出しながら演じます。
その世界観には観客だけではなく、共演者たちも息を呑むほどです。
ヴァレリアと話す機会に恵まれた際に、彼女が倒立のギネス記録保持者であることが明かされました。弱冠20歳の彼女が、70分倒立姿勢を維持するという驚異的な記録を持っていると聞き、驚きの声を上げました。
体操関係者であれば理解できると思いますが、倒立姿勢を維持する事は、数分でもかなり苦労します。それを70分維持するとは、ただ驚くばかり。しかし、彼女のパフォーマンスを見れば、その驚異的な記録も納得。
このショーが終了しても、またすぐに次の場所でパフォーマンスが控えているとの事でした。あと半年もすれば、シルクドソレイユの一員となり、2年間の世界ツアーに参加するそう。彼女がこれから多くの賞賛を浴びるパフォーマーに成長する事は容易に想像できます。そのような素晴らしいパフォーマーと共演できた事は光栄です。
さて、いよいよ、私たちの最終演技について報告します。
ここまでトップバッターとして会場を盛り上げてきた長縄。本日もこのフランスで大いに躍動します。
ADOの曲「唱」に合わせ、スピード感あるリズムにのせ技を決めます。
ドイツとは違う観客の反応のため、普段であれば大きな歓声が湧き起こる場面でも、若干静かな印象。しかしそれは関係ありません。
私たちは与えられた役目を果たすため、この作品のベストを常に目指して演技します。
そして演技終了。
今日も無事にノーミスです。
長縄は今回の演技会を通じ、大きく崩れることなく、その役目を果たすことができました。
そして個人です。
トップバッターは大塚幸市朗のリング。
全日本選手権とは、内容が変わっているものの、それでも観客を満足させるには充分です。
そして、国士舘カップもありますが、自分の演技を演じるのは最後となりました。
冒頭からリズムよく技を決め、男子新体操ならではの手具操作を披露します。途中投げで残念な落下があったのですが、それでも最後のリング足入れは見事に決め大きな拍手。演技終了後、少し悔しそうな表情でしたが、最後までよく頑張ってくれたことに称賛を送ります!
続いては野村壮吾のスティック。
共演者の中でも評価の高い種目です。
ドイツに来て、彼の演技スタイルが外国人には非常にウケが良いことを実感しました。圧倒的なタンブリング力とスピード感はシンプルに凄いと実感することができます。
冒頭のタンブリングを完璧に決め、流れに乗り中盤に差し掛かります。その時なんでもないところでポロリと落下がありましたが、多分観客にはほとんどわからなかったはず。
そこから先は、最後まで安定した演技で演じきることができました。
野村はすべてのショーで演技し、経験値を高めることができました。来年度に向け大いに期待します。
さてそしてこのGymmotionの歴史で最後の演技者となる団体の登場です。
過去に参加したGymmotionでも毎回のように大トリを任されてきた国士舘団体は、常にその期待に応え、重要な役割を果たしてきました。
今回もプライドを持って臨みます。
フランスで男子新体操を披露するのは、おそらくこれが初めてだと思います。
フランス人からしたら、
「日本から来たこのチームは何をするんだろう?」
といったところでしょう。
しかし、演技がスタートすれば、会場は静けさに包まれ、見ている人たちの集中力も上がったと感じることができました。
今回、団体は全日本選手権終了後、学園祭やOGF、そしてこのドイツ遠征と、長い期間競技力を維持したままたどり着いた最後の1本です。
一つ一つの演技に心を込めます。この遠征で培った実施力を武器に最後まで崩れることなく、その大役を終えました。会場からはこの日1番の大きな拍手が!!
フランスの人々にも、私たちの魅力が伝わった瞬間だと感じました。
そしてショーが無事に終了し、出演者が集合します。
ステファンがみんなに感謝の言葉を述べ、いよいよ本当に最後です。それぞれがお互いを讃え合い、別れを惜しみながら、帰路につきます。数名はフランスでの解散でしたが、ほとんどのメンバーはドイツのベンツハイムに再び戻ってきました。しかしホテルは異なるため車内で、最後の挨拶をかわします。
一抹の寂しさはありますが、それでもこの遠征が無事に終了したことへの安堵感は大きいです。
いよいよ帰国。
私たちは12月12日朝9時にホテルを出発し、ほぼ丸一日かけて日本に到着します。
このドイツで得た経験は、選手にとってもチームにとっても大きいものでした。来年に向けた「チーム国士舘」の大きな糧となります。
今回出会ったすべての方々や支えてくれた皆様に
Danke Schön!!(ありがとうございます!!)